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(チェーンブログ:本に関して)河野多惠子『蟹』を読んで.3/3 (さしも草)

(「河野多惠子『蟹』を読んで 2/3」から続く)

主人公・悠子は、恐らく作者の分身だろう。私は、悠子が轉地療養を願うのは、梶井からしばらく離れたかったからではないかと思っている。療養先では、「一日ごとに體力の充ちてくるのが、はっきり判るのである。春と共に、彼女は本當に生きはじめたような氣がした。」とある。武と過ごす数日間は、自分の気持に正直になれたのではないか。

「連載・文学でたどる日本の近現代(50)」(宗教新聞2024.10.20 文芸評論家・伊藤武司)に、「河野文学の要諦は、実際の世界から遊離した幻想や異次元の物語ではなく、現実の生活に足場をすえ、日常的な環境の上に淡々と描くことにある。」、「性的嗜好は幼児に集中し、小さな男の子には『異常に関心』をはらった。」とある。ウイキペディアには、「谷崎潤一郎の衣鉢を継ぎ、マゾヒズム、異常性愛などを主題とする。」とあった。

『蟹』のあと、『美少女』、『愉悦の日々』、『春愁』、『わかれ』と、続けざまに読んだ。そして、読むたびに酩酊した。河野多惠子とは、一体何者なのか? 女専時代は、どんな学生だったのだろう。斐文会報373号~376号で、「府女専100年特集」を4回企画したが、卒業生はみな鋭気に満ち満ちていて、気高い精神力に溢れていた。強烈な個性を放つ河野多惠子にも、連綿と流れる女専の伝統は及んでいたことだろう。だとすれば、府女専とはなんと凄い源流であったことか。今更ながら、畏怖の念に駆られるのだ。

(了)


 河野多惠子氏 斐文会報371号より


   府女専正門 斐文会報373号より                                     

“(チェーンブログ:本に関して)河野多惠子『蟹』を読んで.3/3 (さしも草)” への1件のフィードバック

  1. 斐文会事務局 says:
    母校の作家の書籍差しあげますコーナー

    I-siteなんば2階廊下書棚に、芥川賞作家の河野多惠子さん(専20経)、米谷ふみ子さん(大1国)からの寄贈書籍コーナーがあります。 I-siteなんば2階貸室業務終了となる2027年9月30日までに書籍を撤収する必要があり、希望者にお持ち帰りいただいています。 対象は、女子大出身のお二人の書籍のみ、他のものは対象外です。ご希望の場合は、斐文会講座、支部長会、評議員会、総会などのおり、斐文会事務局員にお声掛けください。

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